そもそも、なぜ剪定するの?

剪定は「ただ短くする」作業ではありません。目的を知ると、どこを切るべきかが見えてきます。庭木の剪定には、おもに次のねらいがあります。

剪定の目的(樹形を整える・風通し・病害虫予防・花や実を充実)を示す図解
図1 剪定のねらいは一つではありません。「何のために切るか」を決めると、迷いが減ります。
🌿 剪定のおもな目的
  • 樹形を整える:大きさや形をコントロールし、美しい姿を保つ。
  • 風通し・日当たりを良くする:込みすぎた枝を減らし、内部まで光と風を通す。
  • 病害虫を防ぐ:蒸れや日陰を解消し、害虫や病気が出にくい環境にする。
  • 花や実を充実させる:余分な枝に分散する力を、残す枝に集める。
  • 枯れ枝・危険な枝の整理:折れそうな枝や枯れ枝を取り除き、安全を保つ。
🐾 はるにゃさんメモ

切る前に「この木をどうしたいか」を一言で決めるのがコツ。「小さくしたい」「花を見たい」「風を通したい」——目的がちがえば、切る枝も変わるよ。

2つの基本の切り方

剪定の切り方は、たくさんあるようで、基本は2つだけ。この2つの使い分けが、剪定の土台になります。

間引き剪定(枝を元から抜く)と切り戻し剪定(枝を途中で短くする)の違いを示す図解
図2 「抜く」か「詰める」か。この2つの組み合わせで樹形をつくります。

① 間引き剪定(枝を元から抜く)

枝を付け根から丸ごと抜く切り方です。枝数が減るので、込み合いが解消し、風通しと光が良くなります。木のサイズや自然な形をあまり変えずに、すっきりさせたいときの基本。迷ったらまずこちらです。

② 切り戻し剪定(枝を途中で短くする)

枝を途中で短く切る方法です。切ったところの近くから新しい枝が出て枝分かれが増えます。大きくなりすぎた木を小さくしたいときや、枝数を増やしてボリュームを出したいときに使います。ただし強く切ると勢いの強い枝が暴れやすいので、加減が大切です。

🐾 はるにゃさんメモ

「落ち着かせたいなら間引き、増やしたいなら切り戻し」。なぜそうなるのかは、植物ホルモンと剪定の記事でしくみから説明しているよ。

切ってよい枝=「忌み枝」

「どの枝を切ればいいかわからない」ときは、まず忌み枝(いみえだ)を探しましょう。樹形や流れを乱す、いわば「いらない枝」のこと。これらを付け根から抜くだけで、見違えるほどすっきりします。

忌み枝(徒長枝・立ち枝・逆さ枝・絡み枝・ふところ枝・下がり枝・ひこばえ)の種類を示す図解
図3 まず「忌み枝」から。流れを乱す枝を抜くと、自然と樹形が整います。
💡 迷ったらこの順で
  • まず枯れ枝を取る。
  • 次に忌み枝(上の枝)を付け根から抜く。
  • 最後に、それでも込み合う所を間引いて光を入れる。

どこで切る? 切る位置のコツ

同じ枝でも、切る位置で仕上がりとその後の伸び方が変わります。基本は2つです。

外芽の上で切る切り戻しと、枝を付け根で抜く間引きの正しい切る位置を示す図解
図4 切り戻すなら「外向きの芽の少し上」、抜くなら「付け根ぎりぎり」が基本です。

切り戻すときは「外芽の上」で

枝を短くするときは、外向きについた芽(外芽)の少し上で切ります。すると、次に伸びる枝が外側へ向かい、樹冠の中が混みにくくなります。芽から離れすぎて切ると、残った部分が枯れ込んで見た目も悪くなります。

抜くときは「付け根ぎりぎり」で

枝を元から抜くときは、付け根(枝の付け根のふくらみ=枝隆)を残して、ぎりぎりで切ります。深く切りすぎると幹を傷つけ、残しすぎると切り口が枯れて見苦しくなります。

太い枝の切り方

太い枝をいきなり1回で切ると、最後に枝の重みで樹皮が裂けて、幹まで傷つくことがあります。これを防ぐのが「3段階切り」です。

🪚 太枝は3段階で
  • まず付け根から少し離れた所で、下から1/3ほど切り込む。
  • その少し先を上から切り落とす(重みは①の切り込みで止まり、裂けない)。
  • 残った枝を、付け根のふくらみを残してきれいに切り直す。

切り口が大きいときは、雑菌や乾燥から守るために癒合剤(ゆごうざい)を塗っておくと安心です。

剪定の時期

剪定は「いつでもOK」ではありません。木のタイプによって、向いている時期があります。

落葉樹・常緑樹・花木それぞれの剪定に向く時期を示すカレンダー図解
図5 木のタイプで適期は変わります。とくに花木は「花が終わったらすぐ」が合言葉。

落葉樹は「冬の休眠期」が基本

葉を落として休んでいる12〜2月ごろが、太枝の整理や本格的な剪定に向きます。葉がないので枝ぶりが見やすく、木の負担も小さめです。

常緑樹は「芽吹き後〜初夏」と「秋」

厳寒期に強く切ると傷みやすいので、新芽が伸びたあと(4〜6月ごろ)や、暑さの落ち着いた秋(9〜10月ごろ)に軽く整えます。真夏・真冬の強剪定は避けます。

花木は「花が終わったらすぐ」

サツキやツツジ、アジサイなどの花木は、翌年の花のもと(花芽)が夏ごろにつくられます。花後すぐに剪定すれば花芽を切らずにすみますが、秋〜冬に強く切ると、翌年の花芽ごと落としてしまうので注意。「花が終わったらすぐ」が基本です。

🐾 はるにゃさんメモ

「うちの木、剪定したのに翌年花が咲かなかった」——それ、花芽を切っちゃったのかも。花木は“花が終わった直後”が安全だよ。

道具と手入れ

道具は多くなくて大丈夫。まずは次のものがあれば始められます。

道具は切れ味と清潔さが大事。切れない刃は枝をつぶして傷口を広げ、汚れた刃は病気を移します。使う前後に汚れをふき取り、ときどき刃を研いでおきましょう。

やりすぎ注意

いちばん多い失敗が「切りすぎ」です。強く切るほどよいわけではありません。

一度に葉や枝を減らしすぎると、木は栄養をつくる力を失って弱ります。反動で勢いの強い徒長枝が暴れて、かえって樹形が乱れることも。目安として、一度に切るのは全体の1/4〜1/3まで。迷ったら少なめにして、翌年に持ち越すのが安全です。

🐾 はるにゃさんメモ

剪定は「一度で完成」を目指さなくて大丈夫。少しずつ、毎年。木とのつき合いは長いから、あせらずいこうね。

はじめての3ステップ

むずかしく考えず、この順番で見ていけば大丈夫です。

① 枯れ枝を取る

まずは枯れた枝、折れた枝を取り除きます。迷う必要がなく、これだけでも見た目が整います。

② 忌み枝を抜く

徒長枝・立ち枝・絡み枝など、流れを乱す枝を付け根から抜きます。「いらない枝」を減らす段階です。

③ 込みすぎを間引く

それでも混み合っている所を、間引いて光と風を通します。切りすぎないよう、少し引いて全体を見ながら進めましょう。

まとめ

剪定の基本は、目的を決める → 2つの切り方(間引き・切り戻し)を使い分ける → 忌み枝から切る → 正しい位置で切る → 適期に、切りすぎない。この流れさえつかめば、初めてでも迷いません。

まずは枯れ枝と忌み枝を抜くところから。少しずつ手を動かすうちに、木の見方が変わってきます。「なぜその切り方がいいの?」と気になったら、植物ホルモンと剪定へ。具体的な木で実践したくなったら、黒松の剪定もどうぞ。

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